落花生は収穫後の乾燥工程として地干し・ボッチ乾燥が一般的ですが、これにはとても手間と時間がかかります。さらに近年ではこの天日乾燥の間に起こる、降雨による品質低下、強風による地干しやボッチの倒壊、野生動物による食害の問題が深刻になっています。
そこで、地干し・ボッチ作業を無くし、雨による品質低下を避け、動物の食害を最小限にできる「落花生をビニールハウスで安定して乾燥させる方法」を、弊社㈲鈴市商店とお取引のある落花生を小規模にやっている農家さんからお聞きしましたので紹介します。
落花生のビニールハウス乾燥について
ビニールハウス乾燥のやり方
- 落花生の収穫時にすぐに脱莢。土をある程度落としておく。
- ビニールハウス内に持ち込み薄く広げる。(この農家さんでは木枠に金属網を底に付けた入れ物を自作。大きさは縦横91cm×高さ4cmほど。地面から浮かせて置くことで入れ物の下側の風通しも良くしています。)
- ビニールハウスの横側を開け風通しを確保。扇風機も利用できます。
- 内側と外側の乾燥むらを防ぐために、最初は毎日1回、その後は数日おきに1回かき混ぜる。
- 天候や乾き具合を見てビニールハウスを開け閉め。3~4週間以上かけて緩やかに乾燥。(落花生は乾かないとカビますが、急速乾燥すると食味が落ちます。)
ビニールハウスが無い場合は
扇風機を使えば室内でも同じように乾かすことができます。やり方は前述とほぼ同じで、全体に風が通り抜けるように扇風機を配置して下さい。カビるのもダメですが急速乾燥もダメなので、自然の風のように首振りモードにしたり、乾き具合を見てON・OFFしてゆっくり乾燥させて下さい。
ビニールハウス乾燥のメリット
早々に脱莢して体積を減らし、安全なビニールハウスに入れることで
- 地干し、ぼっち乾燥を省略。
- 地干し、ぼっち乾燥期間中の獣害を回避。
- 長雨による品質低下(カビ、殻や実の変色)を回避。
- 次の作物をすぐに植えることができる。
ビニールハウス乾燥のデメリット
- 大規模化にはコンテナ等の入れ物がたくさん必要。
- 地干しの代わりに脱莢作業が加わるため収穫時期が忙しくなる。
- 完全放置での乾燥はできない(と思われる)。
乾燥前に脱莢しても問題はないのか。
千葉県農林総合研究センター落花生研究室の研究資料によると、ゆっくり乾燥させるのであれば食味に大きな影響はないと思われます。
(以下、資料の要約部を抜粋)
″ 収穫後茎葉部の有無に関わらず、子実水分が20%以下になるまで緩やかな乾燥を行うことにより、良食味の子実が得られることが明らかとなった。因って従来の地干し・ボッチ乾燥体系に代わる乾燥技術として、コンバイン収穫の様に収穫時に茎葉部を除去したとしても、子実水分が 20%以下になるまで、時間をかけて莢実を乾燥させる技術を開発することにより、地干し・ボッチ乾燥並の食味が維持できると考えられる。 ″
生落花生の脱莢作業の効率化には
生落花生用脱粒機という機械を使う事で効率的に脱莢できます。また、柔らかいゴム刃の枝豆用もぎ取り機などでも代用できます。この小規模農家さんでは来年は「らっこっき」という昔ながらの道具を自作して脱莢するそうです。
皆さんはどんなやり方で落花生を収穫・乾燥させていますか?もし違う方法や他にも良い方法があればぜひ教えてください!
参考資料
- ラッカセイ収穫後における莢実の乾燥条件が子実の食味に及ぼす影響(千葉県農林総合研究センター)
- 落花生の収穫と乾燥のポイント(千葉県)
- 雨よけトンネルを活用した食味を落とさない落花生の乾燥方法(千葉県)
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