誤解されている健康食品のピーナッツ
ピーナッツと聞いてあなたは何を思い浮かべましたか? 人によっては、太る、鼻血が出る、ニキビができる、芽の部分は体に良くない、などあまり良いイメージは出なかったかもしれません。しかしそれらはすべてただの迷信で科学的根拠はありません。
最近ではむしろ、「ピーナッツは血管を健康にして死亡率を飛躍的に下げる食材」とアメリカのハーバード大学が12万人を30年間かけ調査した研究で判明。さらに「ダイエットに使える」、「美容効果がある」、「ガンや生活習慣病を予防する」などピーナツはとても優秀な食品だったことが分かっています。あの話題の成分も含むピーナッツの正しい知識を学び健康に過ごしましょう!
悪玉コレステロールを減らし血管を強くする太りにくい油
ピーナッツの半分は脂肪。しかし、一般的な太るイメージの動物性脂肪とは全くの別物。ピーナッツの脂肪のほとんどは太りにくい植物性の油で、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを下げ動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果のあるオレイン酸・リノール酸です。
また、全身の血管を強くしなやかにする働きのあるパルミチン酸、リノール酸、αリノレン酸も含まれており、脳出血や心臓病などによる死亡率を下げます。これら飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスが良く人間に必要な多くの油がピーナッツオイルには含まれています。太ると思っていたピーナッツに大量に含まれる油の正体は、実は良質で健康的な油だったのです。
単純に「油=太る」と決めつけるのは早計。
ピーナッツで糖質制限&ダイエット。
太る原因は油だけではありません。食べ物が消化され体内血糖値が急激に上がると体内のインシュリンが余った糖質を脂肪に変換することで肥満につながります。この血糖値の上昇が早い食品は太りやすい食品と言えます。お米などの炭水化物は太りやすい食品ですがピーナッツはこの血糖値が上昇する度合を表すGI値(グリセミックインデックス値)がたったの15!!ピーナッツは食べても体内血糖値の上昇度合いが緩やかなので太りにくい食品と言えます。
GI値(最大値は100) | 食品名 |
---|---|
99 | 上白糖 |
95 | 食パン |
88 | 白米 |
85 | うどん |
70 | とうもろこし |
65 | パスタ |
55 | 玄米 |
41 | 桃、メロン |
36 | りんご |
25 | 牛乳 |
15 | ピーナッツ |
12 | 寒天、もずく |
ピーナッツは腹持ちがよく小腹がすいたときに数粒食べるだけで満腹感が長く持続するダイエットにむいた食品です。
糖尿病のリスクを減らす
低GI値食品のピーナツは、健康な人の糖尿病リスクを減らせるだけではなく、2型糖尿病の人にも一日血糖維持に効果があります。約40gのピーナッツを朝食に摂るだけで午前の血糖値上昇を抑えるだけではなく、数時間後にピーナッツを含まない高炭水化物の昼食を摂った後の血糖維持効果も確認されています。また、血糖値を下げるインスリンの分泌に重要なマグネシウムの供給源としてもピーナッツは優秀な食品です。
「お酒のお供にピーナッツ」には理由がある!
ピーナッツに多く含まれるナイアシン(ビタミンB3)は二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解。肝臓への負担を軽減し二日酔いの予防効果があります。飲んだアルコールの分だけナイアシンも補給する必要があります。また、大豆やピーナッツに多く含まれるアスパラギン酸は有害なアンモニアを排出し利尿作用があるので悪酔いしない為にもお酒のおつまみにピーナッツは実はとても理にかなっています。
高い抗酸化作用で老化を抑制
アーモンドに準じてピーナッツにも多く含まれるビタミンEは強い抗酸化作用があり細胞を丈夫にし、老化、がん、心筋梗塞、脳卒中予防に。ピーナッツは血行を良くし、冷え性や血行不良による肩こりを改善します。
記憶力アップ効果
ピーナッツに含まれる「レシチン」は神経伝達物質アセチルコリンを作り出し、脳の神経細胞の働きを活発にします。記憶力や認知機能の向上効果があるピーナッツには受験や勉強のおやつ、認知症予防に適しています。
良性乳房疾患(乳がんのリスク)を減らす
9~15歳女性がピーナッツを最低週に2回食べると最高40%程度まで良性の乳房疾患を減らす事ができ、特に乳がんを患う家族のいる女の子が整理の前後にピーナッツを食べることで強い抑制効果が見られた、との報告があります。また、週に最低1皿ピーナッツ料理を食べる女性は増殖性の良性乳房疾患(乳がんに進行する確率の高い疾患)リスクを3分の1に減らせることが分かりました。
酢ピーナッツで血圧が下がる
高血圧の原因として血管の収縮、塩分の取りすぎなどがあります。この2つに効果のある栄養素として血管を拡張するポリフェノール、余計な塩分を外に出すカリウムがあり、これら両方を多く含んでいるのが薄皮付きピーナッツです。また酢に含まれる酢酸には血管を拡張して血圧を下げてくれる働きがあります。素焼き薄皮付きピーナッツを酢に3日ほど漬けた酢ピーナッツは強力な相乗効果で高血圧を予防します。
ピーナッツの薄皮に含まれる話題のポリフェノール「レスベラトロール」とは?
レスベラトロールは赤ワイン(ブドウの皮)、ピーナッツの薄皮などに多く含まれるポリフェノールの一種。まだまだ研究段階ではありますが抗ガン作用、美肌効果、アンチエイジングなどがあり、健康食品や美容サプリメントとして多数の商品が販売されているほど高い注目を集めています。
殻と違って薄皮は普通に食べることができます。渋いからと皮を剥いて食べるのはもったいない!
【抗ガン作用】
レスベラトロールで特に有名なのは抗ガン作用。腫瘍細胞中に存在するCYP1B1という酵素が、レスベラトロールをピセアタンノールというガン細胞を死滅させる物質に変化します。しかもその変化は腫瘍細胞中でしか変化しないので健全な細胞には影響がないという研究結果があります。
【アンチエイジング・老化抑制】
体細胞は分裂を繰り返すごとに老化しますが、テロメアDNAの寿命が尽きると分裂は行なわれなくなり肌は老化します。このテロメアは染色体の末端にある保護構造で寿命があります。テロメアは細胞分裂の回数券なのです。ピーナッツに含まれるレスベラトロールは、このテロメア回数券の回数を増やすため皮膚を若々しく保つ効果があります。レスベラトロールは誰の体にも存在するサーチュインと呼ばれる長寿遺伝子を活性化させ老化を遅らせる働きがあります。
【美肌効果】
アクネ菌の増殖を抑えるニキビ予防効果、メラニンの生成を抑える美白効果、肌の弾力・ハリの維持などの美肌効果が報告されています。「ニキビができる」というピーナッツのイメージとは全く逆の効能が期待できます。
【認知症予防】
レスベラトロールは認知症予防に効果がありそのメカニズムを解明。
また、脳の神経細胞を死滅させてしまう脳にたまるタンパク質のゴミ「アミロイドβ」という物質があります。この脳のゴミ「アミロイドβ」は誰の脳にも存在していますが、重要なのはアミロイドβのゴミ出し能力。歳をとるにつれてこのゴミ出し能力が落ちていき脳にゴミが溜まってしまいます。レスベラトロールは血管の拍動を助け、このアミロイドβのゴミ出し能力をアップさせる可能性があることが示唆されました。(参考:名医とつながる!たけしの家庭の医学」テレビ朝日2017年7月11日)(具体的な研究結果があるものではありません。また番組内の検証では1日10分程度のウォーキングと組み合わせていました。)
【抗インフルエンザウィルス効果】
ピーナッツの薄皮にインフルエンザウィルスを減少させる抗インフルエンザウイルス作用が認められた。ランナー種のピーナッツから抽出した抽出液では、培養上清中のウィルス量は千分の一以下になった。ピーナッツの薄皮と抗インフルエンザ薬との併用により抗インフルエンザウィルス作用が増強される相乗効果が見いだされた。今後は動物実験等での検証を進めていく。(『菓子食品新聞』2019新年特大号より一部を引用)
落花生の殻は空気をキレイにする。
ピーナッツの殻にはシックハウス症候群の原因のホルムアルデヒドを吸収する事が青柳象平・千葉大教授と国立医薬品食品衛生研究所の研究で判明しました。壁紙用接着剤や塗料に含まれるホルムアルデヒドは頭痛や吐き気などの症状を引き起こしますが、ピーナッツの殻を薄い紙に包んで4時間置くだけでホルムアルデヒドが80%改善!ミキサーで細かくしたものは90%も取り除くことができます。 (参考:読売新聞 2003年6月15日)。また、細かくした殻は高い消臭効果もあり、布袋に入れておくだけでも高い消臭効果を得られます。からだに優しい天然素材で高い消臭効果を持つ殻は動物小屋の敷材や枕の詰め物など近年利用価値が高まっています。
備長炭のような空気の浄化能力をもつピーナッツの殻。
ピーナッツの注意点
ピーナッツの魅力を理解していただけたでしょうか?ただし、これだけ健康によい食材のピーナッツにも注意すべき点がいくつかあります。
【落花生アレルギーに注意!】
落花生は蕎麦や卵などと同様アレルギーとして表示義務のある食品です。落花生アレルギーの方は摂取をお控えください。
【食べ過ぎに注意!】
ピーナッツは一日約20~30粒が適量。どんな食品にも言えることですが過剰摂取はやめましょう。ピーナッツの油が健康的と言っても高カロリー、食べ過ぎには注意です。ピーナッツだけを食べるのではなく色々な食材をバランスよく食べましょう。
注意点に気を付けてピーナッツを楽しみましょう。
ピーナッツバターの栄養・効能は?
ピーナッツバターはピーナッツをすり潰しただけなのでピーナッツと同じ健康効果があります。ただ、各メーカーの商品によっては砂糖・塩・油脂・乳・添加物などが配合されていたりするので裏面の食品栄養表示欄を見てみましょう。栄養価のあるピーナッツの効能を得るには無糖・無添加のピーナッツバターがオススメです。
摂取は毎日20粒!おすすめのピーナッツはこれ!
ローストピーナッツ
以上をまとめると薄皮付きのまま食べられるピーナッツが一番!なかでもローストピーナッツ(素煎り落花生)は殻を一つ一つ剥かなくていいので殻のゴミが出ず片手で手軽に食べられます。また、味付け等を一切していないので素材としてお料理にも使えます。
落花生ペースト 渋
ポリフェノールを含む渋皮ごとピーナッツバターにした無添加・無糖のピーナッツバター。油で薄めていないから濃厚、だけど滑らかな舌触り。渋皮の渋味は抑えて風味はアップさせた独自製法で、自然の甘味がちょうどいい大人の無糖ピーナッツバターをお楽しみください。
殻付き落花生
落花生と言ったら殻付き落花生。殻を剥く手間はありますが薄皮付きのまま食べられます。割って食べる直前まで香りを殻に閉じ込めているので香りがとても良いです。
訳あり品のピーナッツ
毎日続けやすいお手頃価格の訳あり品。やや小粒だったり殻が割れてたり黒かったりしますが千葉県産の美味しい味がしっかりします。「自分用なら全然あり!」なお得なピーナッツです。
食生活に取り入れよう。ピーナッツの健康レシピ
酢ピーナッツの作り方
「酢漬けピーナッツ」は健康系のテレビ番組で何度も放送されるくらい高血圧対策に効果的な食べ方です。
無糖ピーナッツバターの作り方
健康目的なら無添加・無糖のピーナッツバターを選びましょう。薄皮のポリフェノールごと食べるのがおすすめです。