ピーナッツの種類は1600以上!?落花生の品種と選び方。

ピーナッツにも品種があるのはご存知ですか?産地は意識するけれど「落花生の種類」はよくわからないって方が多いと思います。同じ産地でも種類が違うと大きさや味も違ってきます。だから落花生の種類を知っていると自分好みのピーナッツを選べるようになります。種類を意識せずに購入して「なんか思っていたのと違う・・・」と嘆く前に、この機会にピーナッツの種類について知っておきましょう!

目次

千葉県の落花生は5種類

現在千葉県では
焙煎落花生向けの品種、千葉半立(ちばはんだち)、中生豊(なかてゆたか)、Qなっつ(きゅーなっつ)。
ゆで落花生向けの品種、郷の香(さとのか)と、おおまさり。
主にこの5種類のピーナッツが育てられています。

焙煎落花生向け品種

千葉県産落花生で一番代表定な食べ方は、殻付きのまま焙煎しただけの素材を味わう食べ方です。外国産ピーナッツは基本的に加工されることが多いですが、千葉県産落花生はそのままでも美味しいのでこの食べ方が主流です。

●千葉半立(ちばはんだち)

とても香ばしく、甘味が強い濃厚な味で落花生王国千葉県を代表する品種。味の評価は高いですが栽培が難しく収穫量も少ないため高価です。国産落花生では最高品種とされています。歴史も古く「千葉県産落花生」ブランドを確立した品種といっても過言ではありません。ただ、少し小粒で殻に黒い斑点模様がつきやすいため見栄えはあまり良くありません。価格が高い・見栄えが良くない・小粒な為あまり詳しくない人は敬遠しがちですが、逆に見た目よりも味にこだわりのある通の方ほど選ばれる品種です。

●中手豊(なかてゆたか)

千葉県の落花生試験所で品種改良され生まれた品種。千葉半立に比べややあっさりとした味わいの中手豊は、やや大粒で見栄えも良く、殻も白くきれいに育ちやすいので贈り物に大変喜ばれます。 収穫量も千葉半立に比べ2割くらい多いため、千葉県産の落花生でも低価格。 味が良く、器量良く、お求め安い、三拍子揃った落花生の優等生。一般的に千葉県産落花生とだけ表記されている商品はこの中手豊の場合が多いです。千葉半立よりも1ヶ月ほど早く収穫されるので、いち早く新豆を味わう事ができます。

●Qなっつ(きゅーなっつ)

2018年にデビューした新品種。「Pナッツを超すQナッツ。(アルファベット順でPの次はQ)」の名のとおり、今までに無いくらいの分かりやすい甘みが特徴です。前述の中手豊に似てあっさりとしていて、やや大粒で見栄えも良く、殻も白くきれいに育ちやすいので贈り物に大変喜ばれます。中手豊よりも病気に強いため収穫量が安定するようになりました。

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【千葉半立、中手豊、Qなっつ特徴早見表】

 千葉半立中手豊Qなっつ
風味濃厚あっさり甘くてあっさり
価格高いお手頃ややお手頃
大きさやや小粒やや大粒やや大粒
殻・実の固さ固め柔らかめ柔らかめ
渋皮の裏の色合い茶色い白い白い
殻の色黒い斑点がつきやすい比較的白く栽培できる白く栽培できる
収穫時期遅い(10~11月頃)早め(9~10月頃)早め(9~10月頃)
同面積あたりの収穫量少ない多い多い
栽培の難しさ難しい比較的易しい比較的易しい
こんな方にお勧め濃い味好き、グルメな方あっさり味好き、ギフト向け甘くてあっさり味、ギフト向け

千葉半立、中手豊、Qなっつを見分ける方法は?

市場に流通している国産の焙煎落花生はほとんどこの3種類です。落花生の品種の見分け方は色を見る事!。殻を割って渋皮を剥いて、その渋皮の裏を見てください。茶色なら千葉半立、白色なら中手豊かQなっつです。ただ、中手豊とQなっつを見分けるのは難しいです。

業界裏話

スーパーに行ったとき皆さんはどのように野菜を選んでいますか?
おそらく、大きくて発色がよく綺麗な物を選ぶのではないでしょうか。
けれどピーナッツは大粒で殻のとても綺麗な物を選ぶと失敗する確率が高いのです。

なぜなら、ピーナッツは大きく育ちすぎると大味になり風味が損なわれてしまいます。特に中手豊は収穫が遅れた時、その影響が大きいです。ピーナッツの場合、大きさは品種に合った適度な大きさが一番いいのです。

そしてピーナッツの殻の色。実は綺麗なものが美味しいとは限りません。綺麗すぎるものは収穫時期が早すぎる場合があります。早すぎると綺麗に上がりやすいのですが殻が若干柔らかくて味が若干薄い傾向があります。ただ、殻の色については少し複雑で、黒い斑点がついているほうが美味しいというわけでもありません。

そして品種の違い、一番美味しいとされる千葉半立は小粒で黒い斑点模様が付きやすく見栄えは一見立派ではない。つまり、「落花生の品質は殻の色だけでは判断しきれない」のです。

ゆで落花生向け品種

茹で落花生は8月末ぐらいのとても早い時期に収穫されます。焙煎する落花生は掘ってから畑の上で2週間ほど乾燥させますが、茹で落花生は掘ってすぐ茹でます。落花生を早掘りし、かつ乾燥の工程がいらないので新豆が早くに食べられます。焙煎用落花生とは調理方法も保管方法も大分異なっています。

●郷の香(さとのか)

ゆで落花生用に中手豊を親に品種改良され誕生した割と新しい品種です。
郷の香は多く収穫でき、見た目も殻も白く綺麗、皮が薄く渋味が少ないのでゆで落花生として多く栽培されています。一般的に茹で落花生といえばこの品種を指すことが多いです。

●おおまさり

最大の特徴は大きさ。中手豊の約2倍くらいの大きさがあるピーナッツ。従来の品種よりも、甘みがあっておいしく、柔らかくとってもまろやかなので茹で落花生に向いています。「大きなきな莢(さや)で食味が勝る」ことから「おおまさり」という名前に。アメリカのジェンキンスさんが発見・命名したジャンボ・ジェンキンスという落花生を親に品種改良され平成21年に完成した新しいピーナッツ。

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業界裏話

【1】実は茹で落花生という商品は最近になって普及したようです。茹でて食べるという行為は落花生産地では行われていましたがそれを商品化して茹で落花生という人気ジャンルができたのは割と最近(おそらく平成初期頃)。昔はそのような商品はほとんど見かけなかったようです。ゆで落花生は水分を多分に含み腐りやすいので、冷蔵宅配とパッキング技術の進歩がそれを可能にしたと思われます。

【2】おおまさりは千葉県が品種改良に10年以上かけ、平成21年に一般栽培が開始された品種。粒が本当に大きいのでお客様の反応がよく、さらに美味しいという渾身の落花生です。その分製品に求められる基準がかなり高く、「大きくないとおおまさりじゃない!」と大きく育てなかったおおまさりは(といっても一般的な落花生と比べれば十分大きい落花生は)選別で取りのぞく事が求められています。また掘り取った後も1、2日以内に茹で加工しないと、さやの色が黒く変色し商品価値が落ちてしまうため扱いがとても難しい品種です。

ピーナッツは全部で1600種類以上?

千葉県ではこれら5種類のピーナッツが育てられていますが、世界に目を向けるとピーナッツは中国、インド、ナイジェリア、アメリカ合衆国、インドネシア、南アフリカなどで広く栽培されています。多くの国で多くの種類があり目的によって利用されるピーナッツも様々。

ピーナッツには多くの品種の他に「タイプ」による分類があります。大きさや生育特性(草型や分枝習性)などで分けることができ、大きく分けるとバージニア、スパニッシュ、バレンシアの3つのタイプに分けられます。

バージニアタイプは大粒で千葉県で栽培されているの品種はほとんどこのタイプです。日本の落花生は味が良いので、主に殻付きやバターピーナッツなど加工で大きく形を変えない状態で消費されています。それゆえ大粒の品種が需要・供給が高いので、日本で生産されている品種はほぼ全てこのタイプに分類されます。

バレンシアタイプ、スパニッシュタイプは小粒でお菓子やピーナッツバターやオイルに利用されています。こちらのタイプは現在日本ではほとんど栽培されておらずアメリカや中国、南アフリカなどからの輸入品です。

千葉県ではこれら1,600もの品種を千葉県農林総合研究センター(日本国内で唯一の落花生研究専門公的機関)で保管、そこから選ばれた品種をもとに日々品種改良を行っています。経験だけではなく、日々美味しい落花生の研究が行われているからこそ千葉県の落花生は美味しいのですね。

落花生の等級

落花生の種類はは品種だけではなく、実の太さによって等級があります。太い順に一等、二等、三等、四等、五等とランクが分かれていて、等級で価格や用途がかなり変わってきます。一等~二等は実が大きく味もしっかりしているので、さや付き落花生や塩味つき落花生など実の原型を残した加工品などに利用されます。お店によっては”特選”と表記して一般の方に分かり安く表記しているお店もあります。五等に行くにつれて細くなり、細い実はカリカリッとした食感がバターピーナッツなどと相性抜群です。細い実は価格が安くピーナッツオイルなど形が変わる商品にも利用されます。この等級を分けるには機械と手作業の選別作業が複数回必要でとても大変です。

[まとめ] 落花生選びには何が重要?

つまり、千葉県産ピーナッツを選ぶときは「品種と等級」が大事!

「とにかく一番美味しいものが食べたい!」なら、千葉半立。
「千葉県産でお手ごろな殻付き落花生がいい!」なら、中手豊、郷の香。
「お酒に合うカリカリッとした食感のピーナッツがいい!」なら、の細実バターピーナッツ。
「落花生料理を見栄えもよく飾りたい!」なら、超大粒のおおまさり、もしくはやや大粒の中手豊。
「とりあえず安いのがいい!」なら中手豊の細実タイプ。
など、落花生を選ぶときは「品種と等級」で選ぶと自分の好みの落花生を選ぶことが出来ますよ。

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この記事を書いた人

落花生専門店の鈴市は千葉県木更津市にお店を開いて140年以上。
落花生の栽培・製造・販売まで、落花生作りの現場からリアルな一次情報を魅力たっぷりにお届けします!

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